犬の甲状腺機能低下症

今回は、ワンちゃんの甲状腺機能低下症の症例を紹介させていただきます。

主訴は「両目とも垂れてきた」ということで来院されました。

問診をするとそれ以外にも「散歩がゆっくりになった」、「よろける」、「ご飯の量を減らしているのに体重が増えている」などでした。

一般身体検査では大きな異常は認められませんでした。

問診と顔つきから甲状腺機能低下症が疑われました。

*初診時の顔です。瞼が垂れ下がっており、甲状腺機能低下症の皮膚症状である「粘液水腫」と考えられました。

特徴的な症状で悲しそうな表情に見えるため「悲劇的顔貌」とも言われたりします。

その他検査で大きな異常はなかったため、甲状腺の数値を測定しました。

甲状腺の数値は限界値以下であり、さらに強く甲状腺機能低下症が疑われました。

甲状腺ホルモンの薬を調節しながら適正な量を処方しました。

*治療して6ヶ月ぐらい経った写真です。散歩もしっかりするようになり、顔も以前のように戻りました。

甲状腺ホルモンは、「加齢・甲状腺以外の疾患・薬剤など」によって低下することが知られており、

それらは「ユーサイロイドシック症候群」と呼ばれています。

これは本当の甲状腺機能低下症ではないのでホルモンの薬は必要ありません。

甲状腺機能低下症と診断された多くは、この「ユーサイロイドシック症候群」である可能性が高いと言われています。

本当の甲状腺機能低下症とユーサイロイドシック症候群を鑑別することが重要だとされています。

そのためには、臨床症状をよく観察し、適切な状況で検査を行うことが大切です。

今後も血液検査や画像検査などの精密検査だけではなく、問診、触診、聴診などの検査を重要視しながら

診察していきたいと思います。

なかなか症状が治らない、何か気になるなど少しでも気になることがありましたらご相談ください。