今回は舌にできた腫瘍の症例を紹介します。
飼い主様が偶然、舌に出来物があることに気づきました。
ご飯が食べにくい、出血している、痛がっているということはありませんでした。
犬で舌に発生する悪性の腫瘍だと
扁平上皮癌、悪性メラノーマ、リンパ腫、形質細胞腫などがあります。
また犬や猫は歯磨きをすることが難しいのでただの炎症であることも十分に考えられます。
見る限りは炎症ではなさそうだと考えられました。
少し経過を見ましたが大きさに変わりがなかったのと悪性腫瘍の可能性が高い
(見た目や経過からは扁平上皮癌や悪性メラノーマの可能性は低いと思われました。)ため
手術を行うことにしました。

舌の先に近かったため検査結果からは拡大切除をすることができると
考えられましたので腫瘍から2mm程度距離を離して切除しました。


病理検査の結果は「髄外性形質細胞腫」と診断されました。
病変部も完全切除されていました。
舌にできる形質細胞腫は基本的に良性に近い挙動を取ることが多いので
完全切除されていれば治癒することが多い腫瘍です。
今回は完全に取りきれていましたので経過観察としました。

術後2週間程度経った状態の写真です。
まだ傷が完全に治ってはいませんが、舌は手術前と同様にしっかり動いており
ご飯はしっかりと食べることができています。
起きている状態で検査ができ、病名がついた状態で
手術できれば良いのですが、
場所によっては麻酔をかけないと検査できない場合も多々あります。
一部だけ切除してまず病名を診断をつけた後にもう一度麻酔をかけて手術をするのか、
それとも病変部自体を全部切除(辺縁切除)するのかの2パターンがあります。
これらはそれぞれ一長一短がありますので、そこは飼い主様と相談させていただき
どちらの手術を行うかということになります。
見つけにくい場所の病変ですが、飼い主様がしっかり気にかけていただいていたので
そこまで大きくなる前に発見することができました。
同じような症状でお困りの方は
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